食品の安全性に対する意識が世界的に高まる中、多くの食品関連企業が導入を進めているのが「FSSC22000」という国際的な食品安全認証スキームです。特に近年注目されているのが「FSSC22000 バージョン5」です。これは2019年にリリースされた改訂版であり、従来のバージョンと比べてさまざまな点で食品安全の実効性を高める内容となっています。今回は、FSSC22000 バージョン5の概要とポイント、対応の要点について詳しくご紹介いたします。
目次
- バージョン5の登場背景と主な変更点
- ISO22000:2018との関係
- 強化されたマネジメントシステムの要素
- 食品防御・フードフラウド対策の義務化
- 運用への影響と導入のポイント
- まとめ
1. バージョン5の登場背景と主な変更点
FSSC22000 バージョン5は、ISO22000:2018の改訂を受けて、2019年6月に発表された新しいスキームです。前バージョン(4.1)と比較すると、単なる文言修正ではなく、構造や要件の見直しが大幅に行われており、実際の運用に大きな影響を与える内容となっています。
最大のポイントは、ISO22000が2018年に全面改訂され、よりリスクベースでの思考とマネジメントプロセスが重視される構造に変わったことです。これに合わせてFSSC22000もその内容を反映し、HACCPに基づく食品安全の仕組みをより統合的な形で運用できるよう再編されています。また、監査の厳格化や、不適合の定義、サプライチェーン管理、食品防御、フードフラウドなど、食品を取り巻く多様なリスクにも対応することが求められるようになりました。
2. ISO22000:2018との関係
FSSC22000 バージョン5の基礎となっているISO22000:2018は、マネジメントシステム規格に共通する「ハイレベルストラクチャー(HLS)」を採用しています。これにより、ISO9001(品質)やISO14001(環境)などとの統合が容易になり、複数の認証を持つ企業にとって運用の一貫性が確保しやすくなりました。
また、従来の「オペレーショナルPRP」「HACCP手順」といった段階的な考え方に加えて、「組織の状況を踏まえたリスクと機会への取り組み」が明示的に求められるようになりました。つまり、企業の置かれた環境を分析し、それに応じた食品安全の戦略を構築するという「より実践的な管理」が重視されるようになったのです。
3. 強化されたマネジメントシステムの要素
バージョン5では、マネジメントシステムの継続的改善を支えるための要素がいっそう強調されています。経営層のリーダーシップの明確化、全社的なリスクアセスメント、パフォーマンス評価の仕組み、内部コミュニケーションの強化などがその具体例です。
たとえば、単にHACCPプランを策定するだけでなく、食品安全の目標が経営戦略とどう連動するのか、従業員教育がどう実施されているかなど、企業としての「システム全体の整合性」が問われるようになっています。これは、見せかけではない「実効的な衛生管理体制」が求められている証といえるでしょう。
4. 食品防御・フードフラウド対策の義務化
バージョン5では、「食品防御(Food Defense)」および「フードフラウド(Food Fraud)」への対応が必須事項となりました。食品防御は、意図的な汚染や破壊行為に備えるセキュリティ管理のことであり、たとえば出入口の制限や来訪者の管理、監視カメラの設置などが含まれます。
一方、フードフラウドは経済的利益を目的とした不正行為(例:原材料の偽装、産地偽りなど)を指し、これに対する脆弱性評価や予防措置の策定が求められます。つまり、食品の「品質・安全」だけでなく「信頼性・透明性」も保証することが、FSSCの新たな役割になっているのです。
5. 運用への影響と導入のポイント
FSSC22000 バージョン5への対応では、単なる書類の更新ではなく、マネジメントの考え方そのものの見直しが必要になります。すでに旧バージョンを運用していた企業も、リスクアセスメント手法の刷新、教育体制の整備、供給業者との連携の強化など、各所に変更が求められます。
導入の際には、外部コンサルタントの支援を受けつつ、現場の実態に合わせたマニュアル作成やトレーニングを段階的に進めることが現実的です。また、内部監査の質を向上させ、トップマネジメントとの連携を強化することも、長期的な運用の成否を分ける要素になります。
6. まとめ
FSSC22000 バージョン5は、単なる衛生管理の枠を超えて、企業の食品安全に対する総合的な姿勢と信頼性を示すための基準へと進化しています。グローバルサプライチェーンの中で選ばれる企業であるためには、こうした国際基準を理解し、自社の活動に組み込んでいくことが不可欠です。
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