食品の安全性がますます重要視される現代において、製造業者や加工業者が求められる衛生・品質管理の水準は年々高まっています。そうした背景の中、国際的に通用する食品安全認証スキームである「FSSC22000(Food Safety System Certification)」への関心が広がっています。特にグローバル展開を志向する企業にとって、FSSCは単なる認証にとどまらず、信頼の証しであり、品質向上の武器とも言える存在です。
目次
- FSSC認証とは何か
- FSSC認証を構成する3つの要素
- 食品企業がFSSCを取得するメリット
- 認証取得までの実務ステップ
- FSSC取得後の注意点と継続管理
- まとめ
1.FSSC認証とは何か
FSSC22000は、食品の安全性を確保するための国際的な認証スキームであり、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)をベースに、業種別の前提条件プログラム(PRP)とFSSC独自の追加要求事項を組み合わせて構成されています。この仕組みにより、より現場に即した食品安全管理体制を構築することができます。
また、FSSCはGFSI(Global Food Safety Initiative)に承認されており、世界中のバイヤーや流通事業者からも高い信頼を得ています。HACCPに準じたリスク管理手法を基本に据えており、既にHACCPの考え方に慣れている事業者にとっては、FSSCはその延長線上にある国際的なステップアップと捉えることができます。
2.FSSC認証を構成する3つの要素
FSSC認証は、大きく分けて次の3つの要素で構成されています。
第一に、ISO22000に準拠した食品安全マネジメントシステムです。これは食品の安全を保証するための包括的な管理手法で、危害要因分析(HACCP)やリスクベース思考、継続的改善の仕組みなどを組み込んでいます。
第二に、業種ごとに適用される前提条件プログラム(PRP)です。例えば、食品製造業にはISO/TS 22002-1が、包装資材製造には22002-4が適用されます。これにより、業界特有の衛生基準や工程管理が文書化され、現場に落とし込まれていきます。
第三に、FSSCが定める追加要求事項です。これには、フードディフェンス、フードフラウド対策、製品表示の正確性、マネジメントレビューの強化などが含まれており、単なる衛生管理にとどまらず、企業のリスク管理全体を底上げする内容が含まれています。
3.食品企業がFSSCを取得するメリット
FSSC認証を取得することで得られる最大のメリットは、「第三者による信頼性の証明」が得られることです。これはBtoBの取引において大きな意味を持ち、特に大手スーパー、コンビニ、外食チェーンとの取引の際には、取得の有無が選定基準になることも少なくありません。
また、社内においても業務の標準化や衛生意識の向上に繋がります。たとえば、教育訓練の記録や定期的なマネジメントレビューを通じて、食品安全に対する社員の意識が定着しやすくなります。これにより、異物混入や誤表示といった事故のリスクを事前に防止する力が高まります。
さらに、FSSCの運用には継続的な改善が求められるため、組織としての品質向上や業務改善の習慣が自然と根付き、全体の生産性向上にも繋がるという副次的なメリットも期待できます。
4.認証取得までの実務ステップ
FSSC認証取得には、いくつかのステップを踏んで準備と審査を行う必要があります。
まず、自社の対象範囲や取得目的を明確にし、現行の衛生管理体制を棚卸しします。そのうえで、ISO22000に基づいたマネジメントシステムを構築します。ここでは、危害要因分析、リスク評価、緊急時対応手順、内部監査などの手順書と記録の整備が求められます。
次に、自社の業種に適したPRPを導入し、現場に適用していきます。たとえば、作業者の手洗い手順や交差汚染防止策、保守点検の計画などを文書化し、実行・記録していきます。
その後、FSSC特有の追加要求事項を導入し、従業員教育や管理者向け研修を実施します。これらの準備が整ったら、認証機関との契約を結び、ステージ1(文書審査)とステージ2(現場審査)を受けます。審査中に指摘があれば是正処置を行い、最終的に認証書が発行されるという流れです。
5.FSSC取得後の注意点と継続管理
FSSCは取得して終わりではなく、取得後の維持・改善が重要です。認証は3年間有効であり、年に1度のサーベイランス審査(維持審査)が実施されます。この維持審査では、文書や記録が運用されているか、教育訓練が継続されているか、リスク評価やマネジメントレビューが機能しているかが確認されます。
また、規格自体が改訂されることもあるため、最新の要求事項への対応も必要です。FSSCを維持することは、企業としての信頼と品質を守り続けることに直結します。定期的な内部監査とレビュー、改善提案の積極的な導入によって、FSSCを“生きた仕組み”として育てていくことが重要です。
6.まとめ
FSSC22000は、食品業界において安全性と信頼性を同時に高めるための強力なツールです。ISO22000を基盤とし、PRPや追加要求事項を通じて、より実践的な管理体制を構築できる点が特徴です。
取得のハードルは決して低くはありませんが、そのプロセスを通じて社内の衛生レベルや従業員の意識が飛躍的に向上することは間違いありません。グローバル市場や大手取引先との関係構築を目指す食品企業にとって、FSSCは確かな土台となります。
まずは社内で認証の目的を明確にし、信頼できる認証機関との相談から一歩を踏み出してみてください。その積み重ねが、食品業界で選ばれ続ける企業へと導いてくれるでしょう。
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