HACCP(ハサップ)は、食品衛生管理の国際基準として世界中で採用されており、日本でも2021年から原則義務化されました。食品を扱うすべての事業者、つまりラーメン店、惣菜製造業者、テイクアウト専門店なども例外ではありません。しかし「難しそう」「書類作成が大変」と感じている方も多いのが現実です。実は、小規模な店舗や製造所であれば、HACCPはシンプルかつ実用的に取り入れることが可能です。この記事では、HACCPを初めて導入する方でもわかりやすく、6つのステップで要点を整理してご紹介します。
目次
- HACCPの本質を理解する
- 衛生管理計画を立てる
- 危害要因(ハザード)を考える
- 重要管理点(CCP)を見極める
- 記録とモニタリングを続ける
- 習慣として根づかせる
- まとめ
1. HACCPの本質を理解する
HACCPとは、食品の製造から提供までの各工程において、食中毒や異物混入などのリスク(=ハザード)をあらかじめ想定し、それを防ぐための「予防的な管理」を行う仕組みです。大事なのは、問題が起きたあとに対処するのではなく、「起きる前に防ぐ」こと。これは大規模な食品工場だけでなく、小さなラーメン店や惣菜製造業者にとっても、衛生事故を防ぎ、消費者の信頼を得るために欠かせない考え方です。難しい理論や複雑な機器よりも、まずは「安全を守るために、日々何をチェックし、どのように行動するか」を明確にすることが第一歩です。
2. 衛生管理計画を立てる
次に行うのが、自店舗の衛生管理ルールを「計画」としてまとめることです。これは厚生労働省が配布する「業種別手引書(ラーメン・惣菜など)」を参考にすれば、初めてでも比較的簡単に作成できます。たとえば「従業員の手洗いはどのタイミングで行うか」「冷蔵庫の温度は毎日何時にチェックするか」「調理器具の洗浄・消毒方法はどうするか」といった項目を具体的に記載します。この段階では、必要以上に複雑な書類を作る必要はありません。実際に現場でできることを、無理のない範囲で整えることが大切です。
3. 危害要因(ハザード)を考える
HACCPの基本である「危害要因(ハザード)の分析」とは、「どの工程でどんなリスクが起こりうるか」を具体的に洗い出す作業です。たとえば、生肉を扱う場合はサルモネラ菌やカンピロバクターのリスク、仕込みに使う包丁やまな板は異物混入やクロスコンタミネーションのリスクがあります。また、惣菜を冷蔵・冷凍で販売する場合、保存温度の逸脱による腐敗リスクが考えられます。小さな店舗でも、「原材料の受け入れ」「保管」「調理」「冷却」「包装」「提供」といった工程ごとに、どんな危険があるかをリストアップしてみましょう。難しく考えず、現場を見ながら一つひとつ確認すれば十分です。
4. 重要管理点(CCP)を見極める
危害要因の中でも、とくに「ここをミスすると事故に直結する」という重要なポイントを、CCP(重要管理点)と呼びます。たとえば、「チャーシューの中心温度を75℃以上で1分加熱する」「冷凍庫は−18℃以下を保つ」「惣菜は調理後2時間以内に冷却を始める」といったものが該当します。これらは「必ず守るべき基準値」であり、日々の記録やチェック対象になります。すべての工程をCCPにするのではなく、「絶対に外せない数点」に絞るのがポイントです。数が多すぎると管理が煩雑になり、かえって続かなくなります。
5. 記録とモニタリングを続ける
HACCPの要である「記録」は、「きちんとチェックしていた」ことを証明するためのものです。たとえば「今日のチャーシューは中心温度76℃を確認し提供した」「冷凍庫の温度は−19℃で安定」といった数値を日報に書き残します。これにより、もし仮に問題が起きた場合にも、原因の特定や対応がしやすくなります。記録用紙はA4一枚に「加熱温度/保存温度/従業員の健康状態チェック/清掃チェック」などをまとめておけば十分です。これを毎日、厨房の目立つ場所に置き、責任者が記入する習慣をつけましょう。最初は面倒に感じても、数日で慣れます。
6. 習慣として根づかせる
最後に重要なのは、HACCPを「一時的な取り組み」ではなく「日々の習慣」にすることです。これは、記録用紙を使い続けることだけでなく、スタッフ全員が「安全に提供する意識」を持つことを意味します。定期的に衛生教育を行ったり、冷蔵庫や厨房の清掃チェックを月1で回すといった小さな積み重ねが、安全な店舗づくりにつながります。スタッフが増えたときや新メニューを導入する際にも、このHACCPの流れを一つの「基盤」として活かせるようになります。
7. まとめ
HACCPは「難しい制度」ではなく、「食品の安全を守るための当たり前の仕組み」です。小さな店舗でも、今日からできる衛生管理の仕組みをつくることで、お客様に安心と信頼を届けることができます。まずは手洗いのルールや温度管理表の記録から始め、少しずつ自分のお店に合ったHACCPを育てていきましょう。安全でおいしい食品を継続的に届けるための礎として、HACCPは経営の武器にもなります。今後の成長のためにも、今できる一歩を大切にしてください。
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