食の安全性がより強く求められる現代において、HACCP(ハサップ)制度の義務化とともに注目されているのが「アレルギー対応」です。特に飲食業や食品製造業では、アレルゲンに対する正確な管理が消費者の命を守ることに直結しています。本記事では、HACCPの基本的な考え方をふまえながら、アレルギー管理をどのように実践すべきかを、段階的にわかりやすく解説します。
目次
- 食品アレルギーの基礎知識
- HACCPにおけるアレルゲン管理の位置づけ
- アレルゲンの特定と情報整理
- 交差接触のリスク分析と対策
- 重要管理点(CCP)の設定と監視
- 従業員教育とオペレーションの徹底
- 情報表示と消費者への配慮
- まとめ
1. 食品アレルギーの基礎知識
食品アレルギーとは、特定の食物に含まれるタンパク質などに対して、身体が過剰に免疫反応を起こしてしまう現象です。軽い症状としては湿疹やかゆみ、重篤な場合はアナフィラキシーショックを引き起こし、命に関わる危険性もあります。日本では表示義務のある「特定原材料7品目(卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生)」と、表示が推奨されている「特定原材料に準ずる20品目」が定められています。
2. HACCPにおけるアレルゲン管理の位置づけ
HACCPは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、「危害要因分析と重要管理点」を意味します。食品の製造工程におけるリスク(微生物、異物、化学物質など)を洗い出し、特に重要な工程を継続的に監視・記録して安全を確保する手法です。アレルゲンは「化学的危害要因」として、HACCPの中でも重要な管理対象の一つに数えられています。
3. アレルゲンの特定と情報整理
まず最初に行うべきは、自社で扱っているすべての原材料を把握し、アレルゲンを含むかどうかを確認・分類することです。原材料の仕入れ先からの成分表示を確認し、一覧表などで管理すると同時に、アレルゲン表示の誤記載を防ぐ体制を整えます。この段階で情報の整理が不十分だと、工程のすべてにリスクが波及するため、慎重かつ正確に実施する必要があります。
4. 交差接触のリスク分析と対策
交差接触とは、アレルゲンを含む食材が、他の食材や製品に接触して混入してしまう現象です。製造ラインが同一であったり、器具を使い回すことでアレルゲンが「うつる」ことが原因です。リスク分析では、作業導線、器具の共有、手洗い不足、清掃不足などを洗い出し、それぞれに対策を講じます。例えば、アレルゲンを含む製品を最後に製造したり、アレルゲン専用の調理器具を使用するなど、工程ごとの見直しが求められます。
5. 重要管理点(CCP)の設定と監視
交差接触のリスクが高い工程では、HACCPの中でも「CCP(Critical Control Point)」として設定します。たとえば、最終包装の直前や、加熱前の原材料投入工程などが該当するケースが多いです。ここでは、洗浄の徹底や作業者の手順管理、ラインの切り替え時のチェックなどを実施し、記録に残すことでトレーサビリティの確保にもつなげます。
6. 従業員教育とオペレーションの徹底
現場でアレルゲン管理を徹底するには、従業員全体の理解と協力が欠かせません。定期的にアレルゲンに関する研修を実施し、原材料の取り扱い方やアレルゲン混入リスクの具体例などを共有することで、作業精度の向上を図ります。特に新人教育やパート・アルバイトにも同様の認識を浸透させることが重要です。
7. 情報表示と消費者への配慮
最後に重要なのが、消費者へのアレルゲン情報の提供です。パッケージへのアレルゲン表示を正確に行うことはもちろん、店頭販売や飲食店の場合は、口頭でも対応できる体制づくりが求められます。提供メニューや商品説明には「特定原材料を含む」旨を明記し、問い合わせに対して正確に答えられるよう従業員にも情報共有を行います。
8. まとめ
HACCPの導入によって、アレルゲン管理は単なる“注意事項”ではなく、“管理すべき危害要因”として明確な枠組みの中で扱われるようになりました。消費者の健康と信頼を守るためには、原材料から製造工程、表示、提供まで、全体の流れの中で徹底した対応が不可欠です。食品を扱うすべての現場で、HACCPを活用したアレルギー対策を日常業務に組み込むことが、真の“食の安心”につながるのです。
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