食品の安全管理がこれまで以上に厳しく求められるなか、HACCP(ハサップ)は飲食店や食品製造現場にとって欠かせない仕組みとなっています。とくに2021年の制度改正以降、小規模事業者も含めて、HACCPに沿った衛生管理が義務化されました。本記事では、HACCPの基準を正しく理解し、現場で活かしていくための実践ステップをわかりやすく解説します。
目次
- HACCPの基本的な考え方と2つの基準の違い
- 導入前に行うべき準備
- 衛生リスクを洗い出す業務分析
- 重要管理点と基準の設定
- 毎日の記録とモニタリングの習慣化
- 継続的改善のための振り返り
- まとめ
1. HACCPの基本的な考え方と2つの基準の違い
HACCPとは食品の安全を守るために、製造や提供の各工程におけるリスクを事前に分析し、それを防止・除去・低減する管理方法です。日本では事業の規模に応じて「HACCPに基づく衛生管理(制度運用型)」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(簡易型)」の2種類の基準が用意されています。中小規模の飲食店や製麺所、惣菜製造業などでは、簡易型のHACCPでも適用可能ですが、内容は本質的に同じです。
2. 導入前に行うべき準備
HACCPを導入するためには、まず現場の衛生管理に関わるチームを編成することが重要です。小規模な現場であれば、オーナーや店長が主導してスタッフを巻き込む形でも問題ありません。導入の背景や必要性を丁寧に説明し、全員の意識を統一することがスムーズな運用につながります。あわせて、現場の作業工程を明確にし、衛生管理に必要な道具や記録シートなどの準備もこの段階で進めましょう。
3. 衛生リスクを洗い出す業務分析
HACCPの核となるのが「危害要因の分析」です。仕入れ、下処理、調理、保管、提供、洗浄といった一連の作業工程をすべて洗い出し、それぞれの段階で発生しうるリスク(細菌の増殖、異物混入、アレルゲンの混入など)を抽出します。たとえば、加熱不足による食中毒リスクや、調理器具の共有による交差汚染などが挙げられます。このようなリスク分析が、後の重要管理点(CCP)の設定につながっていきます。
4. 重要管理点と基準の設定
抽出したリスクに対して、「ここは絶対にミスしてはいけない」という工程を重要管理点として設定します。たとえば、「鶏肉は中心温度75℃以上で1分以上加熱する」や「冷蔵庫の温度は10℃以下を維持する」など、明確で数値化できる基準を決めることが肝心です。そして、それを誰が、いつ、どうやってチェックするのかもルール化しておきます。現場の負担にならない範囲で、シンプルかつ確実な方法を選ぶことが成功の鍵です。
5. 毎日の記録とモニタリングの習慣化
基準を設定したら、それが守られているかどうかを毎日チェックし、記録に残す必要があります。これがモニタリングと記録の工程です。冷蔵庫の温度を朝と昼に記録する、加熱調理の温度を毎回記録する、調理器具の洗浄履歴を管理するなど、簡単なフォーマットでもよいので継続して記録を残すことが大切です。書類の山にせず、できるだけ現場に合ったフォーマットやアプリを使うと負担軽減になります。
6. 継続的改善のための振り返り
HACCPは一度作って終わりではありません。定期的な見直しを行い、改善につなげていくことが求められます。たとえば、記録ミスが頻発する項目があれば記録方法を見直す、実際の温度管理が基準を外れる場合には機器の点検や買い替えを検討するといった対策が必要です。また、新たな商品や工程を導入する際も、危害要因の再分析が必要です。柔軟に運用し続けることが、現場のHACCP力を高めます。
7. まとめ
HACCPの基準は、決して一部の大企業だけのものではなく、今やすべての食品関連事業者にとっての必須知識となっています。自社の規模や業態に合わせて、無理なく導入・運用することがポイントです。現場に根差したHACCPの考え方は、結果的にお客様からの信頼や安全性の向上につながります。
菅野製麺所の皮類製造現場は、全国製麺協同組合連合会のHACCP高度化計画の認定を受けていますので、安心して召し上がっていただけます。餃子やシュウマイ、肉まん、あんまんなどの点心を家庭の食卓で楽しめます。こだわりぬいた食材と製法で作られたひと味違う点心をぜひご賞味ください。
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