「塩」の使い方は非常に重要です。塩は単なる味付けのためではなく、生地の結着性や弾力、さらには保存性や茹で加減にまで影響を与える要素。今回は、生パスタ製造における塩の役割や注意点、店舗で扱う際のポイントまでを丁寧に解説します。
目次
- 生パスタにおける塩の基本的な役割
- 生地への影響:弾力・粘り・食感
- 味の調整とソースとのバランス
- 塩の種類による違い
- 業務用・製麺所での塩の扱い方
- 保存・冷凍パスタにおける塩の注意点
- まとめ
1. 生パスタにおける塩の基本的な役割
生パスタの製造において塩は主に「グルテン形成の調整」「味のベース作り」「保存性の向上」などを目的に加えられます。小麦粉と水(+卵など)をこねる過程で塩を加えると、グルテンの結びつきを適度に締め、過度にダレないしっかりとした弾力を生み出します。
2. 生地への影響:弾力・粘り・食感
塩を加えることで、小麦中のタンパク質が水分と反応しやすくなり、弾力のある生地に仕上がります。また、生地の粘りやしなやかさにも影響し、「もちもち感」を求めるパスタにはごく微量の塩が最適に作用します。ただし、加えすぎると逆に生地が硬くなりすぎたり、製麺時に割れやすくなるリスクもあるためバランスが重要です。
3. 味の調整とソースとのバランス
麺自体にうっすらと塩味を持たせることで、ソースとの一体感が高まります。特にトマトベースやバター系ソースなど塩分が強すぎないものと組み合わせる際は、生パスタ側に軽く塩味をつけておくと、口の中で調和しやすくなります。ただし、カルボナーラやペペロンチーノなど塩分の強いソースと合わせる場合は、麺の塩分を抑えることも検討します。
4. 塩の種類による違い
生パスタで使用する塩は「精製塩」だけでなく、「岩塩」「海塩」「フレークソルト」など、こだわりに応じて選ばれます。
- 精製塩(食塩):味にクセがなく、安定した製造が可能
- 海塩:ミネラル分が多く、風味に深みが出るが吸湿性が高い
- 岩塩:ほのかな甘みがあり、風味を引き立てるが溶けにくい
プロの製麺所では、目的に応じて塩の種類を使い分けており、パスタのキャラクター作りに大きく寄与しています。
5. 業務用・製麺所での塩の扱い方
製麺所では塩分濃度を0.5~2%程度に調整し、小麦の種類(デュラム小麦、強力粉、もち小麦など)との相性を見ながらレシピ設計します。特に卵を使用したタリアテッレ系では塩を控えめにして卵の風味を活かし、反対にセモリナのみのシンプルな麺には塩をしっかり入れてベースの味を作るなどの工夫がなされています。
また、製麺機を使う場合、塩をあらかじめ水に完全に溶かしてから加える「塩水方式」が一般的で、均一な塩分分布とグルテン形成を助けます。
6. 保存・冷凍パスタにおける塩の注意点
塩分は生パスタの保存性を若干高める効果がありますが、過剰に入れると冷凍保存時に「塩焼け」と呼ばれる変色や食感の劣化を招く可能性があります。また、解凍後に茹でる際も、茹で湯への塩分移動が計算外となることがあるため、冷凍パスタの仕込みでは塩分を控えめに設計する製麺所も多いです。
さらに、テイクアウトや冷凍通販で提供する場合、麺+ソースのトータル塩分バランスが肝となるため、事前の試食検証は必須です。
7. まとめ
生パスタにおける「塩」は、単なる味付けを超えて、生地の粘り・弾力・風味・保存性にまで関わる重要な要素です。塩の使い方を見直すだけで、ソースとの一体感が増し、メニューのクオリティも一段階アップするはずです。
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