食品業界では安全性の確保がますます求められています。特に取引先からの信頼を得るうえで、HACCPだけではなく、より厳格な国際規格「FSSC22000」の取得が重視されつつあります。この記事では、FSSCの概要とその中でも特に重要となる“カテゴリー分類”について、製麺所や冷凍食品メーカーの視点から解説していきます。
目次
- FSSCとはどんな認証なのか
- カテゴリー分類の基本的な考え方
- 製麺所や惣菜製造業が該当するカテゴリーとは
- 飲食店や外食産業は対象になるのか
- カテゴリー選定の注意点と導入のメリット
- まとめ
1. FSSCとはどんな認証なのか
FSSC22000は、国際的な食品安全の認証制度です。HACCPを基礎としたISO22000をベースに、より厳密な前提条件プログラム（PRP）や追加要求事項を組み込むことで、グローバル基準に対応しています。世界中の食品企業が信頼を置くこの認証は、特に輸出や大手企業との取引を見据える中小食品メーカーにとって、今や欠かせない指標となりつつあります。
2. カテゴリー分類の基本的な考え方
FSSCでは、製造・加工する食品の種類や保存方法などに応じて、複数の「食品チェーンカテゴリー」に分類されます。認証申請を行う際には、自社の製造品目がどのカテゴリーに該当するかを明確にしなければなりません。これは、認証内容と監査項目を適切に適合させるために不可欠なステップです。
3. 製麺所や惣菜製造業が該当するカテゴリーとは
多くの製麺所や冷凍食品工場が該当するのは、FSSCの中でも「カテゴリーC（食品製造）」です。その中でも、製品の保存形態により細かく分類されます。
- C I：常温保存製品（例：乾麺、粉末スープなど）
- C II：冷蔵保存製品（例：生麺、チルド惣菜、冷蔵タレ）
- C III：冷凍保存製品（例：冷凍ラーメン、冷凍餃子、冷凍ソース）
- C IV：液体・常温保存（例：ラーメンスープベース、たれ）
自社の主力商品がどの温度帯で管理されているかを正確に把握することが、正しいカテゴリー選定の第一歩です。
4. 飲食店や外食産業は対象になるのか
ラーメン店やイタリアンレストランのような「調理・提供」を行う飲食店舗は、FSSC22000の認証対象には含まれていません。飲食業はカテゴリーKに該当する可能性がありますが、現時点ではFSSCではなくHACCPやISO22000での管理が一般的です。
一方で、セントラルキッチンを持つ企業や店舗で冷凍惣菜を開発・製造している場合は、その部分がカテゴリーCに該当し、FSSC取得の対象となる可能性があります。
5. カテゴリー選定の注意点と導入のメリット
FSSCのカテゴリーを正しく選ぶことは、監査対応や書類整備に大きく関わります。複数の製品を製造している場合は、最も厳しいカテゴリに合わせた運用設計が必要です。
導入によって得られる最大のメリットは「信用」です。特にOEM受注を受けている製麺所にとっては、FSSC認証を取得していることで、大手企業や海外取引先との信頼関係が築きやすくなります。また、従業員教育の標準化や工程の見直しが進むことで、現場全体の効率と品質も向上していきます。
6. まとめ
FSSCのカテゴリー分類は、自社が何をどのように製造しているのかを見つめ直す良い機会でもあります。製麺所や惣菜工場など、食品製造の現場においては、自社製品がどの保存形態に該当するかを明確にし、適切なカテゴリーを選定したうえで認証を検討することが重要です。信頼の証としてのFSSCは、今後のビジネス展開における大きなアドバンテージになるはずです。
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