平成25年におきた冷凍食品メーカーの従業員による農薬混入事件は食品業界のみならず、消費者にも大きな衝撃を与えたのは、記憶にあたらしいのではないでしょうか。この影響からフードディフェンスに対処するため、セキュリティシステムの問い合わせが急増しています。しかし、キチンと対応するためにはフードディフェンスに対する考え方や、運用の面での対応が伴わないと、根本的な対策にはなりません。そこで、今回はフードディフェンスにどのように取り組むべきなのか、まとめましたので一緒にみてきましょう。
■監視カメラはフィードディフェンス?
フードディフェンスのことを少しでも知っている人であれば、「監視カメラ」が主にフードディフェンスとしてあげられる傾向にあります。
確かに、事実として農薬混入事件後に監視カメラを設置したところは多数あるようですが、カメラというのは基本的にはそれ自体に、制御するような機能があるわけではなく映像を残しているのみです。もちろん抑制力にはなる可能性はありますが、間違った行いに対して対応できるようなものではないと認識すべきではないでしょうか。
このため、もしカメラを設置するのであれば、明確な目的をはっきりさせることが大切です。例えば、製造現場の映像をお客様に見せることによって安心を与えるような場合には、プラスに働くことはあるといえます。
■フードディフェンスのポイントとは?
これまでの組織の考え方は、ネガティブリスト(持ち込んでいけないものをリスト化、管理する手法)だったのですが、現在はポジティブリスト(持ち込んでいいものを明確にして、それ以外は不可)とする考え方が定着しつつあります。
また、個人のロッカーにおいても管理を強化し、不要な物は持ってこないだけではなく、定期的にロッカーの状況確認やロッカー内の清掃、保管物については持ち帰らせる工場も出てきています。
また、フードディフェンスを推進する際のポイントについては下記となりますので、確認をしておくといいでしょう。
◎従業員が日々充実して仕事ができるように、コミュニケーションや組織風土を風通しの良いものにすることがフードディフェンス対策の近道である。
◎フードディフェンス対策は、品質保証部門・品質管理だけの問題ではなく組織全体として考えるべきであり、また、完璧な対策は存在しないものであることも認識するべき。(リスクマネジメント)
◎目標設定をして、マネジメント・要因・施設などの様々な面を分析し、全体的に弱いと考えられる箇所を見直していくことが組織として重要。
◎監視カメラ等により監視を強化することで一定の効果は否定しないが、監視の強化自体がもたらす、内部の要因に対する心理的な面についても考える必要がある。
つまり、フードディフェンスにおいては完璧な対策というのは存在せず、到達目標を定め弱いと考えられる箇所を見直していくようなアプローチが重要であるのです。最も大切であるのが、ポイントでも記載した「風通しの良さ」と「コミュニケーションが活発に行えるような組織つくり」ではないでしょうか。
■食の安心を与えられるフードディフェンス
いかがでしたでしょうか?ここまでFSSC22000におけるフードディフェンスに関する構築のポイントを説明いたしました。これらは、いきなり取り組むととても大変な内容になってしまいますが、FSSC22000を導入していれば、多少の工夫によって十分な対策が可能といえます。よって、FSSC22000の導入と、フードディフェンスをすることによって食の安心を与えられるのであれば、検討する価値はあるといえるのではないでしょうか。
株式会社カンノは製造するすべての食材・食品の安全について真摯に取り組み、安全な商品をお届けできるよう努めております。取り扱う商品に関してご質問等ありましたら、お気軽にお問合せください。