FSSC 22000におけるフードディフェンスとは何か

FSSC 22000における「フードディフェンス」は、意図的な異物混入や悪意ある行為から食品を守るための“意図的なリスク”への対応策を意味します。一般的な衛生管理やHACCPが「自然発生的・偶発的なリスク」への対策を中心とするのに対し、フードディフェンスは“人為的かつ意図的”な食品汚染・テロ行為への備えを重視しています。FSSC 22000はISO 22000に加えて、ISO/TS 22002シリーズの要求事項や追加要求事項を含んでおり、その中に「フードディフェンス計画の策定」が明示されています。

目次

  1. フードディフェンスの重要性と背景
  2. FSSC 22000における具体的な要求事項
  3. リスクアセスメントと脅威の特定
  4. 建物・設備のセキュリティ強化
  5. 従業員管理と入退室管理
  6. 計画の文書化と教育訓練
  7. インシデント発生時の対応と再発防止策
  8. フードディフェンス実践の意義と信頼獲得

1. フードディフェンスの重要性と背景

2000年代に米国で起きたバイオテロや故意による異物混入事件をきっかけに、世界的に食品への意図的な攻撃への対策が強化されてきました。とくにFSSC 22000は国際的な食品安全認証として、製造現場が「悪意ある第三者からの攻撃」にも備えているかどうかを確認するために、フードディフェンスの構築と文書化を要求しています。

2. FSSC 22000における具体的な要求事項

FSSC 22000では、「食品防御計画(Food Defense Plan)」の作成が必須です。これは次の要素を含んでいなければなりません。

  • 脅威の評価とリスク分析(TACCP)
  • 潜在的な脆弱ポイントの特定(建物、物流、人的要因)
  • 管理手段と監視手順
  • 教育と訓練
  • 計画の定期的な見直しと更新

3. リスクアセスメントと脅威の特定

まず行うべきはTACCP(Threat Assessment and Critical Control Points)に基づく脅威分析です。食品工場・飲食施設のどの部分が攻撃に対して脆弱なのかを評価し、特に「混入しやすいポイント」「監視が甘い場所」「サプライチェーンの隙間」などをリストアップして、リスクの高い箇所から優先的に対策を立てていきます。

4. 建物・設備のセキュリティ強化

建物の構造や設備に対する管理も欠かせません。具体的には以下のような対策が求められます。

  • 出入口への施錠、監視カメラ設置
  • 立ち入り制限区域の設定と鍵管理
  • 配送エリアへの監視強化
  • 夜間・休日の警備体制の整備

とくに小規模施設では予算の制約もあるため、物理的な対策と人的監視の組み合わせが現実的です。

5. 従業員管理と入退室管理

悪意ある行為のリスクは外部だけでなく**内部(内部犯行)**にも存在します。そのため、以下のような対策が重要です。

  • 全従業員・作業者への身元確認
  • 一時雇用者や外注業者への教育と制限
  • 入退室の記録と監視カメラの設置
  • 貴重品や薬品、アレルゲンなどの保管管理

定期的な内部監査や職場内の相互監視によってリスクを低減します。

6. 計画の文書化と教育訓練

フードディフェンスの対策内容はすべて文書化し、関係者に共有されなければなりません。また、従業員には次のような教育が必要です。

  • 異常発見時の通報手順
  • 第三者の不審行動への対応
  • リスクポイントに対する意識の向上

年1回以上の教育訓練が推奨され、訓練記録や報告書もFSSCの審査対象となります。

7. インシデント発生時の対応と再発防止策

仮に異物混入や不審な行為が発覚した場合、以下の流れで迅速に対応します。

  • 事故発生の記録と報告
  • 原因調査と被害状況の特定
  • 製品の回収・隔離
  • 顧客・行政への通報
  • 再発防止策の策定と文書化

これらの対応力も、FSSCの審査で問われる重要な要素です。

8. フードディフェンス実践の意義と信頼獲得

フードディフェンスは単なるリスク管理ではなく、「安心・安全への企業姿勢」を示すものでもあります。FSSC 22000で求められるこの制度をしっかりと構築・運用することで、消費者・取引先・海外バイヤーからの信頼を獲得し、ブランディングや輸出ビジネスでも優位性を持つことができます。

9. まとめ

FSSC 22000におけるフードディフェンスは、今やグローバルスタンダードの一部として不可欠な仕組みです。偶発的なリスクだけでなく、意図的な脅威にも備える体制を整えることで、事業者はより高い安全基準をクリアし、市場における信頼を築くことができます。小さな食品施設でも段階的な導入が可能であり、最初の一歩は脅威の“見える化”から始まります。

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