小麦粉を炒めて作ったルーにフォン・ド・ヴォを入れて煮詰め、ワインなどで風味付けをして作るデミグラスソースは、ハンバーグやオムライスなどに使用されるので、洋食屋には馴染みの深いものでしょう。今回は生パスタとの相性も抜群なデミグラスソースについて見ていきましょう。
デミグラスソースのルーツ
日本の歴史が江戸から明治へと移り行く中、西洋人と関りを持つようになると、様々な文化が日本に入ってくるようになりました。当然、西洋料理という文化が日本にも入るようになるのですが、その当時は調理をする器材だけでなく、材料も手に入りにくく、再現するにもアレンジが必要でした。
そのような背景を受け、日本の食生活に合わせていく中で、日本独特の西洋料理「洋食」が誕生することになります。
19世紀のフランスに、「オーギュスト・エスコフィエ」という偉大な料理人によりまとめられた「ギッド・キュリネール」という料理の手引の中のひとつに、「ソース・ドゥミグラス」がありますが、それがデミグラスソースの根源となります。
しかし、現在のフランスでは料理を簡素化するという動きが60年代頃から始まり、重くて時間のかかるソースは姿を消すようになります。その後フォン・ド・ヴォが台頭してきて、フランス料理のベースがデミグラスソースからフォン・ド・ヴォへと変わります。
「ソース・ドゥミグラス」は、フランスでは下火となりますが、日本の洋食屋に残って洋食のデミソースへと変貌を遂げていくのです。
デミグラスソースと生パスタ
デミグラスソースは、ソース・ドゥミグラスの別名になります。ドゥミ(demi=半分)グラス(glace=煮詰めた)という名前の意味で、その名の通り伝統的なフランスの基本ソース、ソースエスパニョールにワインを加えて半量ぐらいになるまでしっかりと煮詰めた濃厚なソースです。
デミグラスソースはフランス料理のソースに関する技術を使う、非常に奥が深いソースなので、洋食屋でも万人受けするソースとして様々な料理に活用しているソースとなります。
ボロネーゼに加えて生パスタと融合させたメニューが「ボロネーゼ」となりますが、ボロネーゼはじっくり炒めたひき肉と、刻んだ玉ねぎなどの香味野菜を炒めたものを合わせてワインで煮込んだソースとなります。
イタリアのボローニャ地方が発祥とされるボロネーゼは、現地では「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ」と呼ばれ、ボローニャ地方のラグーという意味を持ちます。
ちなみにラグーとはフランスの煮込み料理を意味しますので、ボロネーゼとフランス発祥のデミグラスソースの相性は良いのでしょう。
その他にも、生パスタと相性の良い「ミートソース」も、デミグラスソースを入れることにより、コクがあって濃厚なソースに仕上がります。
ミートソースはパスタメニューの中でも代表格となるメニューですが、デミグラスソースを加えることで、大人の味に仕上がります。ワインで煮込んだデミグラスソースはワインとの相性も良くなるのでランチだけでなくディナーのメニューでも活躍できる一品となります。
まとめ
しっかりと日本文化に定着したデミグラスソースは、ハンバーグやシチューだけでなくパスタメニューにも重宝します。デミグラスソースはコクと深みを出したいソースの決め手となり、大人の味へと変えてくれるので、ディナーでの提供も視野に入れたいものです。
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