生パスタなど、麺類を茹でないといけない理由とは

生パスタを含むあらゆる麺タイプの食材において、調理する際「茹で」という工程を経るのが一般的です。乾燥パスタなど乾麺系のみならず、そのままでも柔らかなタイプの生麺であっても茹でないといけないのはなぜでしょうか? その理由について考えていきたいと思います。

乾燥パスタと生パスタの「茹で」

パスタ麺は、乾燥パスタと生パスタの2種類に大別されます。形成後、乾燥処理を施し長期保存できるようにした麺が乾燥パスタ。乾燥させず、水と小麦粉その他原料を練り込み形成した段階で用いられるのが生パスタです。

乾燥パスタについて、そのままでは硬くて食べられず料理として出せないのは言うまでもないでしょう。食べられる状態に戻すため「茹で」という工程が必要となるのは自明の理と言えます。

では、もう一方の生パスタについてはどうでしょうか。乾燥処理を取らないこともあり、乾燥パスタとは違って最初から柔らかい状態です。とは言え、生パスタをそのままの状態で料理として提供するというケースはほとんど見聞きしません。生パスタに関しても当然のように茹で処理を行うのがごく一般的です。

なぜこのように、初めから柔らかい生パスタにも「茹で」の工程が取られるのでしょうか?
その理由としては、デンプンを食べやすいタイプに変質させるためということが言えます。

デンプンの糊化

パスタ麺の主な材料である小麦粉は、成分的に70%以上をデンプンが占めています。それはβデンプンと呼ばれる型であり、保存性が高い性質を持っています。βデンプンは小麦のみならず、多くの穀物類の主成分となります。

小麦をはじめ、多くの穀物類は総じて保存性が高く、備蓄可能な食料として古くから人類の文明を支えてきました。それもβデンプンの特性によるものと言えます。その反面、βデンプンは人間の身体では消化しにくいという点も持ち合わせています。

穀物を食料としそこから栄養を取り込むには、消化しにくいデンプンを消化しやすいタイプに変えなければなりません。つまり、食べにくいデンプンから食べやすいデンプンへと変質させる必要があるわけです。

その変質に相当する現象が糊化です。糊化によって、消化されにくいβデンプンは消化されやすいαデンプンへと変化します。糊化をもたらすには、水分と熱が必要です。
言い換えれば、穀物は調理による加水と加熱を経ることによって、人間にとって栄養を摂取しやすい料理へと変化するというわけです。

米を炊いてご飯にするのも、穀物を挽いた粉に水を加え焼いてパンとするのも、糊化によりβデンプンをαデンプンに変えるために必要な工程と言えます。
それらと同じように、麺を茹でるという工程も、生地に含まれるβデンプンを糊化しαデンプンに変えるための処理ということになります。

生パスタを茹でない理由とは

科学的な根拠によって、生パスタだけでなく、小麦粉やその他の穀物は、保存状態を維持するために「βデンプン」のままで流通させる意図があるわけです。「茹でる」と言う現象が、美味しく食べるためのプロセスであるならば「茹でない」という状態は、安全に保存管理が行えることを意味しているわけです。生パスタを茹でない理由は、生パスタを美味しく頂くための原点と考えると良いのです。

まとめ

以上のように、生パスタなど麺食材を用いる際に当然のように行われる「茹で」に関して、なぜ必要なのかを確認してまいりました。
茹で処理の最大の目的は、消化しにくい小麦粉のβデンプンを、食べやすいαデンプンへと変化させる糊化にあるわけです。

基本的な調理方法について、その理由を確かめてみれば、その重要性を再確認できます。そういった観点を踏まえることで、お客様に受け入れられる新たなメニューの開発にも活かすことができるのです。

菅野製麺所ではスープに合わせてオリジナルの麺を提供することも可能です。少量注文にも対応しておりますので、まずはサンプルからお試しください。開業を考えている、または新しいメニューを考えているというオーナー様と共に、麺を追求していきます。
株式会社菅野製麺所とカンノの麺をよろしくお願い致します。

公式サイト
http://www.kannoseimen.com/