食の安全を守る国際規格である「FSSC22000」は、フードディフェンスに関わる要求事項を設けてさらに厳密化しています。今回は、フードディフェンスの概念を通して食の安全を守る取り組みについて解説します。
日本の「食の安全」を脅かした社会問題
食事は命を育む大切な栄養源ですが、健康を脅かす事件が起因となり「食の安全」が重要視されるようになりました。1950年代の戦後復興のさなかには公害問題が発生し、水俣病やイタイイタイ病などの公害病は海外にも知れ渡りました。
高度成長期には食の偽装問題が顕著になり、消費者保護法が制定された後の1970年に消費者生活センターが開設されました。1990年代にはO-157やノロウィルスなど、未知の微生物による食中毒が発生し、死者が出るほどの被害をもたらしました。
2001年の狂牛病BSE問題では企業による産地偽装などが相次ぎ、人の手によって食の安全が脅かされました。その後、各地で発生した豚コレラや鳥インフルエンザなどの家畜伝染病では、殺処分の為に自衛隊の派遣要請をする事例が増えています。
意図的な異物混入事件
2007年から翌年にかけて発生した「中国産冷凍餃子事件」は、会社に不満を持っていた元従業員によって意図的に混入された農薬が原因でした。国内の大手食品メーカーでも同様の事件が発生し、2013年から翌年にかけて計9回12製品に農薬が混入されました。
フードディフェンスとは
食の安全を守るための概念として古くから定着していたのは、フードセーフティー。製造や加工工程での食中毒リスクの回避や、意図せず異物が混入しないようにする手法です。しかし、意図的な異物混入という事件をきっかけに、ディフェンス=防御するという概念の取り組みが注目されるようになりました。
FSSC22000
Food=食品・Safety=安全・System=システム・Certification=認証、この頭文字をとった略称。FSSC22000財団が開発した規格で、食品マネジメントシステムの確立が目的となっています。ISO22000以上に厳しいプログラムで、高レベルの食品管理が求められます。
フードディフェンスの要求事項と取り組み
ISO22000でフードディフェンスについての事項が追加されました。意図的食品汚染の軽減策に関する手順書を作り、その手順書に沿って計画・実行・振り返りをすることが求められています。その内容は外部からの悪質な混入を想定しています。
具体的な取り組みとしては、組織マネジメントである職場環境づくりや勤務状況の把握。さらに人的要素を軽減するための入退室管理や私物の持ち込みの確認、身元の確認や言動の変化を把握することも重要視されています。
まとめ
フードディフェンスという概念を通して、食の安全を守る取り組みについて解説しました。今後も地球環境の変化に伴う不安や未知のウイルスによる脅威は無くならないでしょう。だからこそ、FSSC22000はもちろん、HACCPのフードセーフティーの概念も併せた管理で食の安全が守られることを期待します。
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