食の安全・安心に要求される事項をまとめた規格「FSSC22000」とは

以前は、食に対して求められるものは「美味しさ・見た目・香り」が一般的でした。
しかし現在は様々な背景から「安心・安全」がより求められる時代となっています。
本記事では、品質管理の規格「FSSC22000」について紹介します。

はじめに、日本国内における食の背景を紹介します。

【日本国内における食の背景】

農林水産省によれば、平成28年度の日本国内における食料自給率は、38%(カロリーベース)となっています。世界各国の平均はおよそ100~150%となっており、比較するとかなり低い数値だということがわかります。その主な原因は、生産人口の減少や海外からの輸入品の増加です。食料自給率の、改善の目途はたっておらず、今後も減少すると予想されます。

それに比べ、食品の安全問題で取り上げられるニュースは後を絶ちません。食堂や学校での食中毒、スーパーの商品への異物混入、表示偽装など、発生件数の増減を繰り返し、消費者の食への不安を煽る事件や事故が続いています。

以上の背景から、食の安心・安全に要求される声が高まり、国際的な品質管理の規格「FSSC22000」が日本で注目を集めました。

【品質管理「FSSC22000」とは】

FSSC22000とは、食品の安全性の向上を目的とした管理の仕組みのことで、ISO22000(食品安全マネジメント)と呼ばれる世界共通の標準規格に、より確実な食品の安全管理を実践するために、要求事項を追加したマネジメントシステムです。

この規格は、食品に関係する広範囲の業種に適用されます。主な対象食品は、肉類や野菜などの生もの、麺類やハンバーガーなど加工食品、そして缶詰や砂糖など保存品、ビタミンや添加物など化学製品があります。食品に直接または間接的に触れる、包装資材も対象となります。

ISO22000との大きな違いは、ISO22000はすべての食品関連業種に対し汎用的な食品安全マネジメントシステムであるのに対し、以下の要求事項を追加した点です。

①サービスの管理
②製品のラベル表示
③食品防御
④食品偽装の予防
⑤ロゴの使用
⑥アレルゲンの管理(食品製造、食品包装、包装資材の製造、化学製品の製造)
⑦環境モニタリング(食品製造、食品包装、包装資材の製造、化学製品の製造)
⑧製品の配合(ペットフード製造)
⑨天然資材の管理(畜産・水産業)

【最後に】

FSSC22000を導入することによって、安全で高品質な食品を製造・供給できることを証明し、ブランドイメージを高めることができます。また、食中毒や異物混入、表示偽装、不良品などのリスク管理をすることで、より効果的な食品安全の仕組みを構築できるでしょう。