HACCPの認証の種類と認定機関とは?

1960年代に、宇宙食の安全性確保のために米国で開発された食品衛生管理の方式を「HACCP
といいます。「Hazard」「Analysis」「Critical」「Control」「Point」の頭文字をそれぞれ取って「HACCP」という名称が名づけられていますが、訳すと「危害分析重要管理点」という意味です。
原材料や製品などが国際的規模で流通していく中、食べ物の安全性を確保するためには、加工、流通、消費というすべての段階での衛生的な取り扱いが必要です。
そこで食品製造の行程中に、危害につながる重要部分をリアルタイムで監視・記録していくというシステムになっています。
HACCPには認証の種類によって認定する機関などが異なります。それぞれの特徴などを理解しておくようにしましょう。

HACCP採用によるメリットは?

HACCPシステムを採用することで、工程全てを通じて問題が発生する危険のある段階から対策を講じていくことができます。
それによって、微生物や化学物質を含む食中毒、また、異物などで食品が危害を受けることを未然に防止し安全確保を図ることができます。

HACCPの種類

HACCP認証には団体認証と審査機関があり、経営の規模や流通範囲、扱う食品の種類などで適したHACCP認証を選定していくことになります。それぞれ認証の種類の特徴と認証機関は次の通りです。

●地方自治体によるHACCP認証
地域HACCPと呼ばれる認証で、それぞれの自治体が独自で定めた基準により審査を行います。対象製品や適用範囲が限られていますが、中小企業でも取得しやすい特徴があります。
認証団体には、
・東京都食品自主管理認証
・北海道HACCP自主衛生管理認証
・みやぎ食品衛生自主管理登録
・福井県食品衛生自主管理プログラム
などが挙げられます。

●業界団体認証
対象となる業界や業種に適用範囲が限られている認証です。
認証・認証団体には、
・全国菓子工業組合連合会
・(社)日本惣菜協会
・(社)日本炊飯協会
・(社)日本食肉加工協会
・(社)日本給食サービス協会
・全国製麺協同組合連合会
などが挙げられます。

●総合衛生管理製造過程
厚生労働省の認証制度で、対象となる製品は、缶詰やレトルト食品などの容器包装詰加圧加熱殺菌食品、かまぼこや、はんぺんなどの魚肉練り製品、乳製品、清涼飲料水、食肉製品に限られています。
認証団体は厚生労働省です。

●民間審査期間による認証
民間のHACCP認証の数はとても多いのですが、特徴としてはフードチェーン全体が適用範囲であるものや、手引書や事例が存在しない業種や製品も多いということが挙げられます。
また、審査員次第で審査レベルが左右されることがあり、社内での人材教育や外部コンサルティング費用などが掛かるケースもあることを理解しておきましょう。
認証団体としては、
・ISO220000
・SGSHACCP
・SQF2000/HACCP
・ISO9001/2008
・FSSC22000
・IQFSI認証
などが挙げられます。

世界的に同一のシステムが望まれるところ

水産食品や食肉を中心に米国やカナダではHACCPが義務化されており、EUでもこれら製品の製造施設にはHACCP導入を義務付けるなど、世界でも拡大中です。
また、東南アジア諸国などでも、輸出用食品の製造施設でもHACCPシステム導入を行う企業が増え、多くの国々で受け入れられている状況です。
そのため世界的に同じシステムの導入が望まれると言えるでしょう。