HACCPの温度管理は今までの衛生管理とは違う?

食品の温度管理を含め安全管理を怠っている、という企業はないでしょう。しかしなぜHACCPが必要になるのでしょうか。
HACCPにおけるハザード(危害要因)は生物的、化学的、物理的な要因の3つがあります。ここでは、人間にリスク(危害)を与える恐れのある微生物を制御する上で重要な要因となる温度管理について説明します。

【一般的衛生管理プログラムとHACCP】

一般衛生管理プログラムとは、安全に食品を製造・加工し提供するために、
・施設、設備、器具の保守管理と洗浄や殺菌
・作業員の衛生管理
など、食品の取り扱いや作業環境を整えるために行うプログラムです。
これらをまず徹底していれば、HACCPの導入が一層しやすくなります。
もちろん一般衛生管理プログラムでも食品の安全は保たれるのですが、それを継続的に監視、記録し、HACCPの認定を受けることでより強固になるわけです。

温度管理では、一般的な食中毒の原因になる菌は75度以上、ノロウイルスは85度以上加熱すれば殺菌できます。一般衛生管理プログラムで安全を保ち、その上で残っている菌をなくして記録・確認することがHACCPにあたります。

【HACCPでの手順】

工程の中で発生が予想される危害要因を判定し、適切な対処をした最後にCCPであるかを確認します。
CCPとは、重要管理点という意味で、上記ではそれ以降危害要因を除去したり低減したりする必要がないと判断する事にあたります。
HACCPでは、最後にCCPに至るまでの全工程を管理・記録することになります。これは、温度管理を含めた全ての工程に適用されます。

【飲食店と食品工場でHACCPに違いがでる?】

食品工場で行うHACCPには次のようなものがあります。
・生鮮食材の下処理室や非加熱製品の温度管理
・加熱調理の温度管理
・冷蔵のデリバリー(配達・輸送などの温度管理)
・加熱調理製品の中心温度管理

しかし飲食店では多数のメニューがあり、そのひとつひとつごとに温度加熱調理をシステム化し、温度管理をすることは難しいので、飲食店のHACCPは調理別に行います。
正しくは違いというより、そこに合わせたHACCPを行う、と行った方が正しいでしょう。

【まとめ】

HACCPは一般的衛生管理プログラムよりまた慎重に食品を危害要因からガードするために作られたものですが、もちろんHACCPで完璧に安全となる、というわけではありません。
それが起こることによって深刻な被害、事態を起こすようなハザードを見極めて、それを制御するために必須の管理点を把握し、リスクが起こってもそれを軽微で済ませようという考え方がHACCPと言えます。
HACCPの仕組みを理解した上で食品安全の中でも重要な温度管理をしっかりと行っていきましょう。