HACCPにおける空調管理のポイント──微生物・異物・温度差のリスクを防ぐ

HACCPにおける空調管理のポイント──微生物・異物・温度差のリスクを防ぐ

HACCP導入にあたっては、原材料管理や加熱温度、冷却スピードといった目に見える要素に注目が集まりがちですが、「空調(エアコン・換気扇・給排気)」も重要な管理項目です。空調が適切でないと、浮遊菌や結露による微生物リスク、外気や虫の混入、粉塵の滞留などが発生しやすくなります。とくに温度管理が重要な冷凍・冷蔵食品を扱う場合や、惣菜や生麺の包装工程がある施設では、空調の見直しと日常管理が衛生品質を左右します。ここでは、HACCPの7原則にもとづく空調管理の考え方と、現場でできる実践的な対策を6つのステップでご紹介します。

目次

  1. 空調がHACCPに関係する理由を知る
  2. 浮遊菌・カビ・埃の発生を防ぐ
  3. 温度差と結露リスクのコントロール
  4. 虫や外気の侵入を空調で防ぐ
  5. エアコン・換気フィルターの清掃と点検
  6. 空調管理を記録・ルール化する
  7. まとめ

1. 空調がHACCPに関係する理由を知る


HACCPは食品の安全を守るため、全工程におけるリスクを「予防的」に管理する仕組みです。その中で空調は、直接食品に触れないにもかかわらず、空気中の微粒子や温湿度が衛生環境に強い影響を与えるため、重要な管理項目とされます。とくに、成形室・包装室・冷却室などでは、空調が間接的に微生物の増殖や異物混入を招く原因となることがあり、HACCP的にも放置はできません。まずは「空調が食品の品質にどう影響しているか」を意識することがスタートです。

2. 浮遊菌・カビ・埃の発生を防ぐ


調理場や製造室では、人の動きや空調の風によって空中に埃や菌が舞うことがあります。空調が適切に管理されていないと、エアコン内部でカビが発生し、吹き出し口から製品に直接吹きかけられてしまう危険もあります。これを防ぐためには、フィルターの定期清掃(週1〜月1)、空気清浄機やHEPAフィルターの導入、製品上への風直撃の回避などが重要です。粉末スープや乾麺の包装室ではとくに、静電気で埃が付きやすいため注意が必要です。

3. 温度差と結露リスクのコントロール


冷蔵庫や冷凍庫から取り出した食材を常温室で扱うと、空気中の湿気が結露となり、製品や床に水滴がつきます。これは微生物増殖の温床となるため、HACCPでは注意が必要です。空調による温度の段階的な調整(冷蔵室→低温作業室→常温作業室など)や、除湿機の設置、湿度50%前後を保つ空調設定などが推奨されます。ラーメンスープや餃子の急速冷却後の扱いでは、とくにこの「温湿度管理」がCCPに設定されることもあります。

4. 虫や外気の侵入を空調で防ぐ


惣菜やラーメン店などで、夏場に「虫が入ってきた」「換気扇の隙間から風が逆流した」というトラブルはよくあります。これは空調設備の「正圧・負圧」のバランスが崩れているサインです。厨房や製造室を「正圧」(外より気圧が高い)に保つことで、虫や埃が侵入しにくくなるため、空調設計時にこの考えを取り入れると衛生管理が格段に向上します。扉の隙間や排気口から外気が流入する構造になっていないか、確認しましょう。

5. エアコン・換気フィルターの清掃と点検


空調設備そのものが汚染源とならないように、定期点検・清掃のルール化が不可欠です。たとえば、エアコンのフィルターは月1回以上の清掃を実施し、3ヶ月に一度は内部点検を行う、換気扇のファンは月に1回、排気ダクトも年1回はプロ清掃を入れる、などの基準を決めておきます。また、点検結果を「HACCP記録」として残すことで、万一の際のエビデンスにもなります。

6. 空調管理を記録・ルール化する


HACCPは「記録」が基本です。温度・湿度の数値はもちろん、「換気扇の稼働状況」「エアコンの清掃履歴」「空調による温度差クレームの有無」なども、定期点検の一環として記録用紙に記載しておくと、衛生監査や行政調査にも対応しやすくなります。可能であれば温湿度のデジタルモニタリングを導入し、異常があった際にすぐにアラートが出るようにすると、より安心です。

7. まとめ


HACCPにおける空調管理は、目に見えにくいながらも衛生品質を大きく左右する「縁の下の力持ち」です。空気中のリスクに目を向け、設備を清潔に保ち、気流や温湿度をコントロールすることが、安全・安心な食品提供の土台になります。日々の点検やルール作成を通じて、空調という視点からもHACCPを強化していきましょう。

菅野製麺所の皮類製造現場は、全国製麺協同組合連合会のHACCP高度化計画の認定を受けていますので、安心して召し上がっていただけます。餃子やシュウマイ、肉まん、あんまんなどの点心を家庭の食卓で楽しめます。こだわりぬいた食材と製法で作られたひと味違う点心をぜひご賞味ください。
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