これまでHSCCPによる衛生管理は製造基準が定められた業種が対象という形でしたが、これからはHACCPに沿った衛生管理は原則としてすべて(検討のうえ進めている)の食品等事業者を対象として制度化されることになるます。では、現在の衛生管理とはどのように変わるのかを見ていきましょう。
■制度化に至るまで
国際連合食糧農業機関と世界保健機関が1963年に設立したコーデックス委員会で1993年に食品衛生の一般原則の一部としてHACCPが示され、日本においても1995年に製造基準が定められた業種を対象とした「総合衛生管理製造過程の承認制度」としてHACCPによる衛生管理がスタートしました。
2014年には、各都道府県等の条例により管理運営基準が改正されHACCP導入型基準も選択することが可能となり、食品等事業者のHACCPによる衛生管理の推進が図られることとなりました。
2018年6月13日に厚生労働省から公布された食品衛生法等の一部と改正する法律では原則としてすべての食品等事業者へHACCPに沿った衛生管理に取り組んでいただくことが盛り込まれました。
■どのように変わるのか
1)衛生管理の内容としてはこれまで求められてきた衛生管理を、各事業者が使用する原材料、製造・調理の工程等に応じた衛生管理となるよう計画し、記録保存を行うことで「最適化」「見える化」するものです。
2)小規模事業者の方に取り組んでいただくことになるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理については、厚生労働省が確認する手引書を利用して、温度管理や手洗い等の手順を定め、記録をしていただくことを想定しており、比較的容易に取り組めるものとなっています。
3)HACCPは工程管理の基準であり、施設設備等の整備を求めるものではありません。今回の制度化にあたっても現行の施設設備を前提とした対応が可能です。
■対象事業者
ご自身の持つ店舗なども対象になるのか、気になるところでしょう。では「HACCPに沿った衛生管理の制度化」が実際に適用されると対象になるのはどのような事業なのかを見ていきましょう。
対象事業者は、厚生労働省のホームページによると「原則として全ての食品等事業者」とされていますが、主に食品の製造・加工・調理・販売などに関わる事業を行っている事業者を対象としており、と畜場業や食鳥処理場、メーカー事業、加工事業、販売店、飲食店、食品の保管や運搬を行う事業も対象となります。
■まとめ
HACCPに沿った衛生管理に関する制度改正は、2018年6月13日から起算して2年以内に施行することとされていますが、本格導入に向けて施工後さらに1年間の経過措置期間を設けているので3年間程度の準備期間が設けられているので、具体的な施行日は今後の政令で定めることとされています。
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