賞味期限切れや異物混入、食中毒などニュースを見るたびに「またか!」と消費者は敏感になっています。
このような経緯もあり、飲食店だけでなく食品に関するすべての安全を明確化したFSSC22000に注目が集まり数年経過しました。
今回は、簡単なFSSC22000の審査の流れを紹介します。
【FSSC22000とは】
はじめに、すでにご存知の方もいるでしょうが、FSSC22000について説明します。
2010年にベルギーのGFSI(Global Food Safety Initiative)機関が作成しました。
ISO22000(食品安全を脅かすハザード(危害)を、適切に管理する仕組みによる保証を目指す食品安全マネジメントシステム(FSMS:Food Safety Management System)と、ISO/TS2002-1またはPAS223(人間だけでなくペットの食物及び包装容器など、食品に関連する様々な規格)から構成され、これに、さらに食品管理に関して厳しい追加要求事項を含めグローバル化した食品安全規格のことです。
追加された要求事項とは、サービスの管理・製品のラベル表示・食品防御・食品偽装の予防・ロゴの使用・アレルゲンの管理(食品製造、包装など)・環境モニタリング(同様)・製品の配合・天然資材の管理などです。
【審査プロセスについて】
では、その審査プロセスについてみてみましょう。
1.チームの結成
最初に行うのは、FSMSに関わるチームの立ち上げならびに、システムの要件定義です。
社内において「FSMSが必要なのか」「必要な場合どのような管理が必要なのか」また「改善事項があるのか」などを内部で検証します。
そして、チームメンバーがどれぐらいFSMSについて理解しているか調査し、マニュアルと教育プログラム作成してスケジュールをたてます。
2.システムの構築
構築する事項はPRP、HACCP、OPRPについてです。
PRP:食品安全のための前提となるべき条件、つまり直接的に食品生産に関連するものではなく、手洗いや消毒、従業員の教育、衛生管理などのルールを決めることです。
HACCP:PRPを土台に食品安全ハザードを防ぐための手順です。HACCPにおけるハザードとは、生物的(微生物など)・科学的(温度など)・物理的(設備など)の3つの要因を扱います。
OPRP:前述したPRP及びHACCPに関して実行結果を、具体的に明確化するために表や文書化して管理・記録します。
3.システムのテスト運用
システムが期待したとおり正しく運用・機能しているか検証及び妥当性を確認します。FSMSに関して、知識と経験がある管理者がいれば内部監査で済ますことも大丈夫でしょう。自己評価だけでなく、外部の専門家に依頼すればより確実になります。
このタイミングで、問題点や改善点、維持すべき点を洗い出し修正します。
4.認証機関の審査
FSSC22000認証を認可するのはFSSC財団であり、世界各国に財団からライセンスを受けた認証機関がありますので、その審査を依頼します。審査は2段階となっており、第1段階はISO22000に基づいているか書類と現地にて審査し、第2段階はISO/TS220002-1またはPAS223に基づいて実施されているか、現地にて審査します。
このタイミングで、認可に必要なマネジメントレビュー及びシステムの見直し・修正を行います。
上記のような過程を経て、審査に合格すれば、ようやくFSSC22000の登録証が発行されます。
【最後に】
FSSC22000の取得は容易ではありません。しかし、そのブランド力は世界共通のものです。表面化していないハザードや深刻な被害を引き起こす事態を回避するために、審査を考えている方やこれから審査に臨まれる方はFSSC22000についてしっかり理解し、準備して頂きたいです。