HACCP(ハサップ)における12手順と7原則とは?

HACCPとは「Hazard=危害」「Analysis=分析」「Critical=重要」「Control=管理」「Point=点」の略称で、「危害要因分析重要管理点」と訳されます。

食品を安全に管理しながら製造するための手法がHACCPです。

原料の受入から製造、出荷まで、工程の中で微生物や異物混入などが起きやすく、食中毒など健康被害を引き起こす危険をある程度予測・分析した上で防ぎながら管理していきます。

食品にとって危険な要因とは?

危害要因として挙げられるものは病原微生物などの生物的なものと、化学的(抗生物質や残留農薬、洗剤や消毒剤などの科学的なもの、そしてガラスや金属片などの物理的なものがあります。

それぞれの工程でこのような危険要因が混入しないために必要な管理方法を定めていく事が必要です。特に厳重な管理が必要な工程や、危害要因を低減、完全に除去できない重要な工程については管理基準を設定し連続して確認するといった事も行われます。

このような管理が十分に基準を満たしたものになっているかを確認し、必要であれば改善していく事がHACCPを実施する事だと言えます。

HACCPを実施前に必要なこと

HACCPはあくまでも衛生管理の手法の一部なので、効果的に機能させるには前提条件である「一般的衛生管理プログラム」を実施する事が必要です。

一般的衛生管理プログラムによって、製造環境や従業員の衛生管理、施設や設備・使用水などの衛生管理、食品取扱者の教育、回収・廃棄、記録などについて整備していきます。

HACCPを導入するための7原則12手順

HACCPを実施するためには企業方針としてHACCPを導入し、企業でHACCPチームを編成したのちに7原則12手順に沿って進めて行きましょう。

手順1 HACCPチームを編成する
手順2 製品説明書を作成する(名称、種類、原材料、添加物などの記述)
手順3 意図する用途と対象に消費者の確認を行う(加熱の必要性などの用途、誰が主に食べるのかなど)
手順4 製造工程一覧図を作成する(受入から製品の出荷、食事提供など最終工程までの流れの書き出し)
手順5 製造工程一覧図と現場認識の確認を行う
手順6【原則1】 危害要因分析を実施する(危険要因の洗い出し、分析、対処方法の検討)
手順7【原則2】 重要管理点(CCP)を決定する(加熱殺菌や金属探知など危害要因を除去・低減するための重要な工程の決定)
手順8【原則3】 管理基準(CL)を設定する(特定したCCPが適切に管理できるか温度や時間、速度などの基準を設定する)
手順9【原則4】 モニタリング方法を設定する(CCPが正しく管理出来るか定期的に確認し、記録する)
手順10【原則5】改善措置を設定する(モニタリング結果でCLが逸脱している際の措置を設定する)
手順11【原則6】検証方法を設定する(HACCPに沿った管理が実施できているか、修正の必要性を検討する)
手順12【原則7】記録と保存方法を設定する(HACCPを実施したことを記録し、後の問題が生じた時の原因追及に役立てる)

大規模事業者だけでなく中小でも普及が進むべき

現在では大規模事業者を中心としてHACCPの導入が進められる状態ですが、中小事業者ではあまり普及が進んでいません。

しかし食品事業者が安全で安心できる食品を製造するためにも、作業環境を含め製造工程の中に潜む危害要因を排除していく事が重要です。