アメリカのNASAで、宇宙食への安全対策として開発された仕組みが「HACCP」で、現在では世界各国で取り入れられ、日本でもHACCPを導入することでの食品管理体制構築を検討する中小企業が増えています。
今後、食品管理を充実させ、消費者に安心・安全に食品を届けるために、HACCPの歴史などを踏まえてどのような仕組みなのか確認しておきましょう。
HACCPの原型となったものは?
宇宙環境においては、宇宙飛行士の健康対策が万全にできることが望まれます。
そこで100%安全な食品開発が求められ続けてきましたが、加工食品の最終段階を検査して基準を満たしたものを残すといった方法が採用されていました。
しかしその方法では検査に合格して最終的に残ることができる食品はほんのわずかのため、効率良く宇宙食が加工できるシステム構築が求められたわけです。
そのような流れから、食品加工段階で衛生面を確認するのではなく、予防策を導入するといった考えが今のHACCPの原型となりました。
HACCPという名称の意味は?
HACCPとは「H(Hazard:危害)」「A(Analysis:分析)」「C(Critical:重要)」「C(Control:管理)」「P(Point:場所)」というそれぞれの単語の頭文字を取って付けられた名称です。
原材料を確認し、製造過程や従事者の確認、保管、流通など、それぞれの流れにおいて、事前にリスクとなる要素を洗い出し、危害を排除していくシステムとして構築されています。
HACCPで行うべきことは?
HACCPは、まず危害になるものを分析していきますが、食中毒の原因となるウイルスや、ガラスの破片などの異物混入などが起こりうる原因、さらに洗剤や農薬など化学物質などが混入される原因などを洗い出し、それによってどのような危害があるかを確認して、発生しない管理体制を築いていきます。
危害を管理していく上で、どの範囲まで実行するかを設定して、対策が確実にできているのか監視しながら記録を付けていくことが必要です。
HACCPを導入すれば安全性が保証される
従来までは最終製品に対して安全性を保証していたので、細菌検査を行って安全だと認めてもらえれば出荷することができました。
しかし、この方法ではNASAの宇宙食と同じように効率良く食品開発を進めることはできません。
このような場合にHACCPを導入することで、製造までの工程により安全性を確認し、出荷される前の検査を行う必要性は少なくなるはずです。
監視する内容にも、水質、蒸気、空気と様々な分野に及ぶため、より高い安全性が保証されるようになるでしょう。
今後は義務化される可能性もある?
今後、HACCPを導入することは義務化されるとも考えられるため、食品製造業でHACCPの必要性が高まることにより、従来の安全保証制度はなくなるかもしれません。
まだ明確に義務化されるとは決まっているわけではありませんが、可能性として考えられることからも早めに導入しておいたほうが良いでしょう。